オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2025年9月19日

第11回空調設備雑学講座

皆さんこんにちは!
合同会社柏井商会、更新担当の中西です。

 

「涼しい」「寒い」「ムワッとする」——感覚の言葉を設計と運用の言語に翻訳するのが空調の出発点です。最初に押さえるべきは、快適の定義とその測り方。ここではPMV/PPD、作用温度(OT)、気流、湿度、放射、着衣量、代謝量をつなげて、設計→施工→運用の共通言語をつくります。📚

 

1|“快適”を定義する7つの変数🧩
• 気温(Ta):温度計で測る“空気の温度”。
• 放射温度(Tr):壁・窓・天井など周囲表面の平均放射温度。
• 作用温度(OT):TaとTrの加重平均。ドラフト(気流)が小さいとOT≒体感温度。
• 相対湿度(RH):汗の蒸発効率とカビ/ウイルスの生存に影響。
• 気流速度(Va):0.1〜0.3m/sの微風は夏の快適に寄与。過大だとドラフト不快。
• 着衣量(Clo):夏0.5、冬1.0が目安。制服/ドレスコードで変わる。
• 代謝量(Met):座位1.0、軽作業1.2〜1.6。オフィスと厨房では“正解温度”が違う理由。💼🍳

 

2|PMV/PPDで合意形成📈
• PMV(Predicted Mean Vote)は−3(寒い)〜+3(暑い)の平均予測。−0.5〜+0.5に納めるのが一般的。
• PPD(Predicted Percentage of Dissatisfied)は不満率。PMV=0でもPPD=5%は残る——“100%の満足はない”ことを前提に、設計目標を現実的に置くのがプロ。🙆
• 使い方:設計段階でClo/Metの想定を明記→施工後に実測(Ta/Tr/RH/Va)→PMVを逆算し、差異があれば運用で調整(風量/吹出温度/スケジュール)。

 

3|夏と冬の“正解”は違う🌞❄️
• 夏:やや低めのOT+気流0.2〜0.3m/sで蒸発冷却を後押し。湿度50–60%目安。
• 冬:放射の偏り(窓際の冷放射)を減らすのが鍵。足元温度とドラフト抑制が快適のコア。湿度40–50%で喉/静電気対策。

 

4|気流と吹出の“失敗あるある”🌀
• 顔に直撃:吹出口の投射距離とコアンダ効果無視で発生。→天井面沿いに流して拡散。
• 足元が寒い:冬の過大な換気量や過低温度吹出が原因。二次加熱やVAV制御で改善。
• 会議室のムワッ:人が増えると潜熱負荷(湿気)が急上昇。除湿能力の確保や再熱設計が効く。💧

 

5|“感じ”を数値にする測定🧪
• 黒球温度計で放射を含む温熱環境を把握。
• アネモメータで微風速を測定、0.1m/sの差が快適を分けることも。
• データの見せ方:ダッシュボードでPMV/PPD/OT/RH/Vaを可視化。体感アンケートと並べると運用改善の議論が進む。

 

6|“快適=省エネ”にする運用⚡️
• 人に合わせる:在室/予約/CO₂連動で必要な時だけ空調。
• 場所に合わせる:ゾーニング×VAVで使っている場所に風と冷温を集中。
• 時間に合わせる:予冷/予熱とナイトパージの合わせ技。

 

7|チェックリスト✅
☐ 用途別にClo/Metを定義したか
☐ 設計条件のOT/PMVを明記したか
☐ 吹出方向/投射距離/ドラフトの検討図があるか
☐ 実測用のセンサー位置と校正計画を持っているか

 

8|まとめ🌈
“快適”は感覚ではなく設計変数。PMV/PPD/OTを共通言語にし、気流・湿度・放射を丁寧に扱えば、満足度↑×エネルギー↓が両立します。次回はサイコロメトリ(空気線図)で、空気を“描いて動かす”基礎を押さえます。📝

 

合同会社柏井商会ではメンテナンスからIoT監視まで幅広対応空調設備快適使うためサポートせくさい

詳しくはこちら!

apple-touch-icon.png